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「アアアアルケインさまー!!」
息をきらして駆け込んで来た部下は、大層な慌てぶりだった。
「どうしたんだい?」
「あ、はい、え、えーと…なんと言いますか………。」
部下は明らかに動揺している。
やはり何かあったらしい。
「ふふ…もう少し落ち着きたまえよ。ワインでも飲むかい?」
「そ、そのワインが大変なんです!!」
「………なななんだとおおおォォっ!!????」
パリンッ
アルケインが落とした空のグラスが弾けて床に散らばる。
「ひっ……!」
アルケインの豹変ぶりに、部下の顔はさらに青ざめる。
アルケインは目から鼻にかけて仮面で顔を覆っている。
その表情は読み取れない。
だが、抑え込むような黒々とした怒りがオーラのように吹き出しているのだから。
「僕のワインがどうしたって…?」
「それが…何者かの奇襲を受け、倉が破壊されていて…。」
「な、な、な。」
アルケインは口をパクパクさせながら、言葉が見つからないようだった。
はっきり言って、アルケインのほうがよっぽど動揺している。
「あの、アルケイン様…?」
「…の…。」
「の??」
「……僕のフィアンセ達に指一本でも出そうもんなら、全員干物になるまで吸ってやろうか!?あァっ!??」
まるで、どこぞの不良のようにキレると、アルケインは窓から颯爽と飛びだして行った。
「ア、アルケイン様!?ここ3階……って行っちゃったよ……。」
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