3*黄色い鼠

5/7
前へ
/44ページ
次へ
その日の夜、流石に兵士達は食料庫前の見張りを命じれた。 食料庫に向かうその顔には、くっきりとした手あとが残っていて見るからに痛そうだ。 「俺たち…閉めなかったっけ?」 「鍵は…一応確認した…はずだけどな。」 もう一人の兵士が自信無さげに呟く。 ここ数日、あまりに平穏で何もなかったので、気が抜けていたのは確かだった。 絶対に閉めたのかと問われると、自信も無くなってしまう。 「と、とにかく!もう飯減らされるのも、おばちゃんにビンタ食らうのも嫌だからな!今日はしっかりやるぞ!!」 「お、おう。」 2人は情けないことを言いながら、食料庫にたどり着いた時だった。 「あれ………??」 今日は、厳重に施錠したはずの扉が微かに開いていた。 鍵は一つも見当たらない。変わりに、何か物凄い力で押し潰されたように砕けた破片が、小さく光っていた。 「……………。」 ゴクリ 2人は扉の向こうの闇から目を離せないまま、喉を鳴らす。 そして、お互いに目配せをすると、武器を片手に中へと踏み込んで行った。
/44ページ

最初のコメントを投稿しよう!

72人が本棚に入れています
本棚に追加