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その日の夜、流石に兵士達は食料庫前の見張りを命じれた。
食料庫に向かうその顔には、くっきりとした手あとが残っていて見るからに痛そうだ。
「俺たち…閉めなかったっけ?」
「鍵は…一応確認した…はずだけどな。」
もう一人の兵士が自信無さげに呟く。
ここ数日、あまりに平穏で何もなかったので、気が抜けていたのは確かだった。
絶対に閉めたのかと問われると、自信も無くなってしまう。
「と、とにかく!もう飯減らされるのも、おばちゃんにビンタ食らうのも嫌だからな!今日はしっかりやるぞ!!」
「お、おう。」
2人は情けないことを言いながら、食料庫にたどり着いた時だった。
「あれ………??」
今日は、厳重に施錠したはずの扉が微かに開いていた。
鍵は一つも見当たらない。変わりに、何か物凄い力で押し潰されたように砕けた破片が、小さく光っていた。
「……………。」
ゴクリ
2人は扉の向こうの闇から目を離せないまま、喉を鳴らす。
そして、お互いに目配せをすると、武器を片手に中へと踏み込んで行った。
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