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「我々教師が不確かな情報に踊らされては生徒たちに必要以上の不安を与えます。少なくとも5年前の事件は家出という事で解決している。下手に不安を煽るような事は避けてください。」
嶋田の剣幕に宮川を始めとして、全員が黙り込んでしまった。
先ほど以上の重い空気が職員室を支配する。
「ではそういう事でよろしいですかな?教頭先生。」
嶋田にいきなり話を振られた、最初に口を開いた初老の男性は一瞬驚いた顔をしてから何度か頷いた。
「嶋田先生のおっしゃる通りです。我々が根も葉もない噂に踊らされては生徒たちの不安と無責任な噂を増長させるだけです。先生方はこれからも毅然とした態度で生徒たちに対応し、無責任な噂を流させないようにしてください。ではこれで終わりにします。」
そう締めくくると、教頭はそそくさと職員室を出て行ってしまった。
藤本が宮川を見ると、丁度宮川もこちらに目を向けた。
目が合うと、宮川がやれやれ…といった表情で肩を竦めて見せる。
藤本はそれを見ると僅かに笑い、何も言わず机の中から日本史の教科書を取り出した。
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