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「!?」
え……な、なんで消えたんだ!?どこいった!?
しかし、どこをどう見ても先ほどまで強烈な存在感を放っていた虎の姿は見えない。見えるのは満足気にニコニコ笑っている転校生の姿だけ。
「あれは……どこいった!?」
虎の硬そうな毛に触った感触があるのかすら疑わしい。
俺は篠原の方を見て問い詰める。相変わらずニコニコしている篠原は機嫌がいいのか楽しそうに返答してくる。
「ハルトさんが虎を消したんですよ」
「は……?」
俺が、
あのデカイ虎を、
消した?
何言ってんだこいつは。
「意味わかんないんだけど……」
あまりの展開にちゃんとした思考ができない俺に対して、篠原は全てが分かり切っているかのように焦らず動じず答える。
「僕は普通の人間ではない、とさっき言いましたよね?」
「あ、あぁ」
確かに篠原はそう言った。最初は頭のおかしい奴がうちの学校に来てしまったのかと引いてしまったが、今では納得せざるを得ない。
突然剣をどこからか取り出したり、巨大な虎と戦ったり……。
そういえば、あの剣はどこから出てきたんだろう?
まぁとにかく篠原が普通ではない事は確かなのだ。
篠原は特大のほほ笑みを浮かべながら、俺にこう告げた。
「つまり、貴方も普通じゃないってことです」
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