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「篠原……」
どうやら夢で終わらせてはくれないようで、篠原はきちんとベッドの隣の床に正座をしてこちらを見ていた。
そして、その隣には
「……恵里姉ちゃん?なんでいんの?」
実の姉、杉浦恵里香(スギウラ エリカ)がいた。
恵里香は不機嫌そうに口を開く。
「あんたひき逃げにあったそうじゃないの!しかも相手は逃げられて。ったく軽い怪我ですんだからよかったものの……気を失うなんて情けないわね。たまたま通りかかった篠原君に感謝するのよ」
俺はどういうことだと篠原を横目で睨み付ける。
「いえいえ、友達ですから。当然の事をしたまでですよ」
こちらを見ながら、さらりと篠原がそんなことをいいのける。
何が友達だ、知り合って一日も経ってないだろうが。
「もう大丈夫ですか、杉浦君?」
篠原がほほ笑みながら、真っ直ぐ俺の目を見つめてくる。
話を合わせろということらしい。
「あぁ、大丈夫だよ。……ひかれたときは死ぬかと思ったけど」
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