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「成る程ね……」
その怪しげな組織は、俺が欲しいわけだ。そして、さっきの公園での出来事みたいな事に参加しなきゃならないと。
――――迷惑な話だ。
「悪いけど、断らせてもらう」
「……まぁ、そう言うとは予想してましたよ」
俺の言葉に篠原は動じることもなく、やれやれといった様子でため息をついた。
「確かに、あんな怪物と戦ったのはショッキングな出来事だったでしょうが……。まぁ、今日のところは帰らせてもらいますよ。明日またお会いしましょう」
そう、明日も学校だからまたコイツに会わなくてはならないのだ。
(ってか意外にあっさり諦めたな、もっと粘ってくるかと思ったんだが……)
少し寂しい気がしないでもない。
(うん?『今日のところは』?)
「おい、篠原……」
「じゃあ、さようなら!」
元気に別れの言葉を残した篠原は、驚くほどの速さで部屋を出て、数秒後にはお邪魔しましたという言葉が聞こえてきた。
「……逃げやがったな」
俺は一人愚痴をもらし、ベッドに倒れ込んだ。
その日、突然嵐のように俺の前に現れた謎の転校生篠原は、これまた嵐のように去っていってしまったのであった。
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