第1話 始まり

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俺の場合、遅刻の理由は二つある。 一つは、今日まで遠い親戚の葬式やらに行ったために中学三年生最初の一日を逃し、皆より一日分長く春休みを満喫してしまったために学校というモノを忘れてしまい、いつもより遅く起きてしまったからである。 もう一つは、ただ単に俺は朝が苦手だからである。 結局一つのようなもんじゃねーかとかそんなことはこの際どうでもいい。俺は今、非常事態宣言が発令されているのである。 「行ってきます!」 俺は飛び出すように家をでて、止まることなく走り始めた。 今日は入学式であり、今年から中学三年生である俺には関係のない話ではあるのだが、弟の明には関係のある話である。 同じ中学に入る明は自慢の弟であり、明もまた兄である俺を慕ってくれている。そんな弟の入学式に出れないなんて兄の面目丸つぶれじゃないか。ってそんな事考えてる場合じゃねぇ! 「死ぬぅぅぅぅぅ!!」
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