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さて、転校生への興味がすっかり薄れた俺は授業をうとうとしながら受け、なんとか入学式まで持ちこたえたわけなのだが。
「篠原将俊(シノハラ マサトシ)です。仲良くして下さいね?」
「あぁ」
何故か俺は今、その転校生君の隣に座っている。
説明しよう!入学式は番号順で席につくわけだが、杉浦(スギウラ)という名字の俺はシノハラとかいう奴の隣へ必然的に座ることになったのである。以上説明終わり!
隣に座りながら、女子が虜になりそうなニコニコ笑顔をふりまいてくる転校生。いかにも紳士な雰囲気を醸し出しているソイツは、これまた紳士的な落ち着いている声で話し掛けてくる。
「スギウラ君……でしたっけ?」
「そうだけど」
頼むから寝かしてくれ転校生、俺は今眠いんだよ。
しかし突然、隣に座る奴が動きを見せる。
「あ、もうすぐ新入生の入場ですよ」
だそうだ。……あ、そういえば明来るんだったよな。
「アキラはどこかなー?」
「知り合いですか?」
転校生がニコニコしながら話し掛けてくる。そんな問いに、俺はさっきより少し体を起こして椅子に座り直しながら答える。
「弟だよ」
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