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隣で「弟がいるんですかー、いいですね」などと転校生が笑いかけてきているわけだが、俺は今、明を探す事に集中しているため返事はしない。
見つけた!なんだ制服似合ってんじゃん、流石我が弟。
「んじゃ、寝るか」
「寝ちゃうんですか?」
しまった……。つい口から漏れちまった。
「眠いからな。寝る」
「そうですか、おやすみなさい」
なんだこいつは。気持ち悪いくらい敬語を使ってくるな、わざとか?
不意に、転校生の笑みが消える。
「……でも、寝るのはどうやらまだ早いみたいですよ」
そう口にした転校生は、突然俺の手をとると続けてこう言った。
「すいません、来てもらわないと」
「は?」
俺がまぬけにもそう言った時には既に転校生は立ち上がっていた。
必然的に掴まれた手が引っ張られ、強引にも俺は立たされる。
何がなんだかさっぱりだ。
そんな俺などお構いなしに、転校生はなんと座っている生徒をかきわけて走りだした。勿論俺を引きつれて。
「ちょっ、うわっ、こら離せよっ!?」
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