第1話 始まり

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隣で「弟がいるんですかー、いいですね」などと転校生が笑いかけてきているわけだが、俺は今、明を探す事に集中しているため返事はしない。 見つけた!なんだ制服似合ってんじゃん、流石我が弟。 「んじゃ、寝るか」 「寝ちゃうんですか?」 しまった……。つい口から漏れちまった。 「眠いからな。寝る」 「そうですか、おやすみなさい」 なんだこいつは。気持ち悪いくらい敬語を使ってくるな、わざとか? 不意に、転校生の笑みが消える。 「……でも、寝るのはどうやらまだ早いみたいですよ」 そう口にした転校生は、突然俺の手をとると続けてこう言った。 「すいません、来てもらわないと」 「は?」 俺がまぬけにもそう言った時には既に転校生は立ち上がっていた。 必然的に掴まれた手が引っ張られ、強引にも俺は立たされる。 何がなんだかさっぱりだ。 そんな俺などお構いなしに、転校生はなんと座っている生徒をかきわけて走りだした。勿論俺を引きつれて。 「ちょっ、うわっ、こら離せよっ!?」
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