新しい世界で

3/15
30756人が本棚に入れています
本棚に追加
/484ページ
腰の剣に手を伸ばす。 自分の間合いにはギリギリ入っているが、角狼(ホーンドウルフ)は頑丈だ。 しかも、銀色。普通の奴よりも更に強い突然変異種。 出来れば、戦わずにどこかへ行ってくれると有り難いんだが… 俺がじっと構えていると、銀狼はくるりと方向転換した。俺が今向かっていた森の最奥の方へ。 少し進むとまたくるり、とこちらを伺うように振り返り見つめられる。 銀狼に戦意は見受けられないようだ。 だが、なんだ? 逃げる訳でもなく、こちらを見つめ続けている。 俺が少し近づくと、また森の奥へ近づいた分だけ進む。 近づく、逃げる。近づく、逃げる。 もしかして、俺をどこかに誘い込んで襲うつもりか? だが、それにしては殺気の欠片も無い。 まるで、道案内でもしているような… 進む事数十分。 漸く銀狼が立ち止まった。
/484ページ

最初のコメントを投稿しよう!