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腰の剣に手を伸ばす。
自分の間合いにはギリギリ入っているが、角狼(ホーンドウルフ)は頑丈だ。
しかも、銀色。普通の奴よりも更に強い突然変異種。
出来れば、戦わずにどこかへ行ってくれると有り難いんだが…
俺がじっと構えていると、銀狼はくるりと方向転換した。俺が今向かっていた森の最奥の方へ。
少し進むとまたくるり、とこちらを伺うように振り返り見つめられる。
銀狼に戦意は見受けられないようだ。
だが、なんだ?
逃げる訳でもなく、こちらを見つめ続けている。
俺が少し近づくと、また森の奥へ近づいた分だけ進む。
近づく、逃げる。近づく、逃げる。
もしかして、俺をどこかに誘い込んで襲うつもりか?
だが、それにしては殺気の欠片も無い。
まるで、道案内でもしているような…
進む事数十分。
漸く銀狼が立ち止まった。
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