新しい世界で

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「ようやく到着かよ」 銀狼に近づいてももう逃げない。 どうやら目的地にたどり着いたらしい。 銀狼の視線は森の奥、少し開けた所へ向けられている。 ここには何度か来た事がある。確か、森の木が少し途切れて広場の様になっているはずだ。 「何か、変わったものでも有るのか?」 ぐるりと見渡す。特に目立つようなものは… 「あっ!?」 するりと俺の横を銀狼が擦り抜けていく。 その先。 苔蒸した岩に寄り掛かるように、小さな人影が見えた。 銀狼が真っすぐ向かって行ったので、もしや襲い掛かるのかと慌てて俺も駆け寄った。 だが、その心配は杞憂に終わった。 その小さな人間に、銀狼はフンフンと鼻を近付けてぺろりと頬を舐めたのだ。 その後は鼻面を擦り付けたり髪の毛の匂いを嗅いだり、どうやら相手を心配しているようだった。
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