30758人が本棚に入れています
本棚に追加
/484ページ
人影はよく見ると小さな子供だった。
整った小さな顔。さらさらの少し長めの黒髪、陽にあたった事が無いような、だが滑らかそうな白い肌。
歳は、五歳くらいか?
ぶっちゃけ、天使が舞い降りたかと思ったぜ。
いやいや、俺には小さい子供好きの怪しい趣味はないが。
そっと頬に触れると少し冷たいがふにふに柔らかい。
「おい、大丈夫か?」
少し肩を揺すってみるが、子供は起きない。
周りを見ても、子供の親らしき人間もいない。
これはもしかして。
「捨て子、か?」
こんな所に年端もいかない子供を置き去りにすれば、余程運が良くなければ魔獣に見つかって食われてお仕舞いだ。
ここで見つけてしまった以上仕方ない、か。
俺は子供をそっと抱き上げた。
…軽い。
子供ってこんなに軽いもんなのか?
すうすうと、子供は寝息をたてている。
「お前、こいつを見つけてほしかったのか?」
いつの間にか銀狼は俺の足元に座り込み俺たちを見上げていた。
???Side End
最初のコメントを投稿しよう!