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がーん。
体が、縮んでる!
舌もなんか上手く回らない。
何なんだよ!一体、どういう事に…
「おっと、暴れんなチビ。もう着いたからな」
僕を抱えた男はそう言って少し古びたバーみたいな建物に入った。
中は割と広くて、何人かの男女がテーブル席に座って話している。
「えーっと、何かあったかいもんでも飲むか?あ、マスターこいつにミルクかなんかくれるか?」
いや、そんな心遣いはいいから降ろせ。足元が覚束ない。
もう一度男をよく見てみる。
歳の頃は二十歳過ぎってところか。青い髪は少し長くて後ろで尻尾みたいに縛っている。
緑の瞳はこちらを柔らかく見つめている。全体的に優しげな感じのハンサムだ。
ただし、人の話はあんまり聞かないらしい。
僕はこてり、と首を少し傾げながら上目遣いにお願いする。
「降ろちて?」
ふふふ、この必殺上目遣いで何人落としてきたか。
案の定、こいつも顔を赤くして目を見張った。
「か…っ」
『か?』可愛い、の『か』?
けれどその後に続く言葉は別の声に遮られた。
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