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魔狼の中でも、銀狼と呼ばれる自分達の一族だけに伝わる、『我が良き片羽<マイベターハーフ>』
あまり知られていないが、銀狼は背中に翼を持っている。
薄い上に普段は折り畳まれ毛皮に埋もれて見えないが、広げれば体の二倍ほどの大きさの翼が有るのだ。
風魔法が永久的にかかっている翼で空を飛べる。
あまり必要がないので滅多に飛ばないが。
一対で羽ばたく翼を自らの唯一無二に準えて、『我が良き片羽』と呼ぶのだそうだ。
その者と共に在れば、どこまででも行ける。どこまでも飛べる。
あの時は、母が単に自分の旦那(私の父親だ)の事を惚気ているのかと気にも止めなかったのだが…
コレが、この不可解な気持ちがそうなのか?
魂の叫び?
あの人間の子供が、私の唯一?
だとしたら、私は、とんでもない間違いを犯したのでは!?
運命が引き合わせてくれたのなら、決して、離してはいけないと母は言っていただろう!
「オオオォー!!」
遠吠えを一つ。
直ぐ様森の外へ駆け出した。
もう辺りは日が傾きかけている。
さっき嗅いだ甘い香りを思い出しながら、その残り香を辿ってひたすらに走った。
Sideルディ End
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