かけがえのないあなた

6/6
30758人が本棚に入れています
本棚に追加
/484ページ
魔狼の中でも、銀狼と呼ばれる自分達の一族だけに伝わる、『我が良き片羽<マイベターハーフ>』 あまり知られていないが、銀狼は背中に翼を持っている。 薄い上に普段は折り畳まれ毛皮に埋もれて見えないが、広げれば体の二倍ほどの大きさの翼が有るのだ。 風魔法が永久的にかかっている翼で空を飛べる。 あまり必要がないので滅多に飛ばないが。 一対で羽ばたく翼を自らの唯一無二に準えて、『我が良き片羽』と呼ぶのだそうだ。 その者と共に在れば、どこまででも行ける。どこまでも飛べる。 あの時は、母が単に自分の旦那(私の父親だ)の事を惚気ているのかと気にも止めなかったのだが… コレが、この不可解な気持ちがそうなのか? 魂の叫び? あの人間の子供が、私の唯一? だとしたら、私は、とんでもない間違いを犯したのでは!? 運命が引き合わせてくれたのなら、決して、離してはいけないと母は言っていただろう! 「オオオォー!!」 遠吠えを一つ。 直ぐ様森の外へ駆け出した。 もう辺りは日が傾きかけている。 さっき嗅いだ甘い香りを思い出しながら、その残り香を辿ってひたすらに走った。 Sideルディ End
/484ページ

最初のコメントを投稿しよう!