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まだ二人は話に夢中の様。
これは、チャンス、かな。
僕はカウンターの椅子からそっと降りるとキョロキョロ辺りを見回した。
「オジさん、ちょっといいですか」
こそっと、傍のテーブルで一人呑んでいた親父に声をかけた。
「お手洗い、どこですか?」
急に話し掛けられてびっくりしている。
いいから早く教えてくれ。
「お、おお。そこのドアを開けて一番奥だよ」
店の奥に二階に通じる階段とは別にドアがある。
「ありがとー」
礼を言って素早く移動した。
ドアの向こうは細い廊下になっていて、幾つか物置みたいな部屋が並んでいた。
一番奥に、トイレらしき部屋発見!
扉を押して入り、辺りをさっと見回す。
うん、普通のトイレです。水洗って事は上下水道はちゃんと整備されてるのか。都市部だけかもしれないけど、その辺りは後で調べればいいや。
今はそれよりも…
僕は目当ての物を探した。
天井の方を見上げると、明かり取り用か換気の為か小さな窓が有った。
幸い、はめ殺しではない。
鍵も中から掛けるタイプ。
よし、あそこから脱出だ!
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