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と、ここで問題が一つ。
僕は今子供。
天井近くの窓には当然届きません。
便座とか足場にしてもちょっと無理。
いや、想定内だけどね?
「んー、と…」
脳内でイメージ。
体に風を纏わせて、ふわりと体を押し上げて浮かぶように。
《浮遊(レビテーション)》
僕の初魔法は、トイレから脱出するための魔法でした。
もっとかっこよく使いたかったなあ…
まあ、取り敢えず考えるのは後々。
ふわふわ浮かんだまま小窓の鍵をカチリと開けると、よっこらしょと狭い小窓から体を外に押し出した。
幸い裏の細い路地に面していたので、そのまま見咎められる事もなくフワリと地面に降り立つ。
(御免ね、ジンさん)
やっぱ、そこ迄迷惑かけるのは気が引けるので。
一人のほうが気が楽だし。
いやいや、後の理由がメインな訳じゃないよ?
あくまでも迷惑をかけるのが申し訳ないので。
まあ、そういう事で。
ジンさんのその優しさは、僕みたいななんちゃって子供じゃなくて、本当に困っている人にお願いします!
ぺこりと一礼して(隣はトイレだけど)狭い裏路地を駆け出した。
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