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「…」
どうするかな、こいつら。
黙っていると、勝手に勘違いして男たちが僕の腕を掴んだ。
「なんだよ、怖くて動けなくなったか?」
「しょーがねぇだろ、ガキなんだからよ」
「さっさといくぞ、時間がねえ」
子分の一人が僕の腕を掴んだまま抱えて歩きだした。
口にはご丁寧に猿轡。
言葉を封じられても、今少し検索しただけでも無詠唱で指や手の動きが有れば使える魔法が幾つか有る。
有るけど、ここはこのまま連れ去られよう。
こいつらがどこに行くのか確かめてからでも反撃は遅くはない。
街の外に行ってくれれば一番いいんだけど、そう上手くはいかないか?
僕を抱えたまま人目を避けてボロい建物に入った。
ここが目的地?
がらんとした薄汚れた部屋に、家具といったら小さな机とその上にあるひびの入った小さな花瓶くらい。
すると子分の一人が茶席で茶わんを回すように、両手で花瓶をゆっくり回しはじめた。
おっと、これはもしかして…!
ある程度まわすと、かりかりとどこかで歯車が回るような音がして。
「モガゴモガガ」
壁に隠し扉が現われた。
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