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薄い壁がスライドすると、隠されていた扉が現われた。
首を上げると人が一人通るのがやっとの狭い扉と、地下に下りる階段が見える。中は薄暗いが、人が通ると自動で明かりが点く魔法が壁のランプにかかっている様で何とか歩けるようだ。
全員が中に入るとさっきと同じような音が響いて後ろの扉が閉まった。
おお、自動で閉まるのか。なかなか大がかりなギミックに感心していると、僕を抱えている男がボスに話し掛けた。
「ゴメスさん、黒髪って高く売れるんっすよね?競りの当日にこんな上玉が手に入るなんてツイてましたね!」
「まあな。普通の競りじゃ黒髪なんて扱いきれねぇが、今回のは特別でかい。腐ったクソ貴族どもが買ってくれるだろうよ」
「ヒヒッ、こいつも可哀想に。ギルドに黒髪のガキがいるってんで見に行こうとしたら裏から逃げ出そうとしてるんだもんな」
「貴族の子供がフラフラこんなとこ歩いてるワケもねぇし、なんなんだろうなこいつ」
逃げるとこ見られてたのか。
それよりも、ギルドに僕がいるって情報がこんなに早く流れるとは。
黒髪の価値は相当なんだな。
後は、こいつらの目的地。
競り、って言ってたよな。
人身売買か…
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