過ぎた愛情

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敏也はゆっくりと起き上がった。眠い目を擦りながら辺りを見回すと、近くで葉子が静かに眠っていた。その穏やかな寝顔に心が満たされていくのを感じると、敏也は立ち上がり、あの手紙が無いことを祈りながら玄関の外へ出た。 だがその願いが届くことはなかった。郵便受けにはいつものように手紙が入っていた。しかしその日はそれだけではなかった。手紙の横には綺麗に包装された小包が置いてあった。嫌な予感がしたが、それを一旦リビングの机に置いた。 小包の中身も気になったが、とりあえず手紙を読むことにした。 『あの女よりも私の方があなたにふさわしい。私の方があなたのことが好き。その証拠をあなたに贈ります。これを見ればきっと私の想いが伝わるはず。』 とても嫌な予感がした。しかし中身に対する好奇心もあった。少し迷った後、ゆっくりと包装紙を破いた。 中身を見ると、一瞬時間が止まった。目から入った情報を脳が拒否しているかのような感覚。透明な円筒状の容器のなかには、一つの球体が浮かんでいた。暗く濁った瞳が敏也をじっと見つめていた。 「うわああぁぁぁっ!」 敏也は中身を認識すると同時に手を離して後ずさった。ゴトリ、と音を立てて倒れたそれは、意志があるかのようにゆっくりと敏也の方へ転がった。 「ん、どうしたの?」 敏也が半狂乱になっていると、先程の叫び声のせいか、葉子が目を覚ました。敏也の怯える様子から異常を感じ取ったのか、訝しげに敏也の視線の先を見た。葉子はそこにあった物体を手に取り、それを見てしまった。 それと同時に甲高い悲鳴が響き渡った。その悲鳴に反応したかのように玄関のドアが開いた。
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