過ぎた愛情

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女は息を荒げながら、包丁を手に立ち上がった。そして、血溜まりの中を敏也の方へゆっくりと歩きだした。その顔は、やはり笑っていた。 「これで敏也は、私のモノ」 女は力が抜けて座っている敏也の前まで歩くと、そこに座った。そして愛おしそうに敏也の頬を撫でると、口を開いた。 「私は敏也を一番愛してる。敏也がいれば、他に何もいらない。いつまでもそばにいたい。だから……私を敏也だけのモノにして」 女はささやくようにそう告げると、敏也の手を取り、包丁を握らせた。女は敏也の手を自分の手で覆い、包丁を自分の喉元に突き付けた。そして、笑った。 「敏也、私だけは、いつもあなたを見てるから……」 言い終わると同時に、女は自分の喉を切り裂いた。
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