*プロローグ*

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「君、何部に入るの?」 「僕はバスケットボールかな。君は?」 「僕は帰宅部かなぁ……」 まぁなんとも入学式後に前後左右の席で行なわれそうな気まずさを紛らわすため無難に選ばれる とりあえず「絶対に成功する」会話のひとつであろう。 あまり積極的に人とは関わりたくはないタイプではあるが、さすがにこの最初の顔合わせに出遅れてはマズいというのは小・中学で唯一学んできた事だった。 中学の頃は強いていうのなら仲の良かった方の(俺の勘違いでなければだが)上原君がサッカー部に入部するので一緒にどうかと 「サッカー部はモテる」 という魅惑の方程式に誘われ、ついうっかり入部した事によって学んだ事がいくつかある。 教訓その一 性に合わない熱血練習・熱血友情・恐怖の上下関係は二度と後免だという事 そして 教訓その二 大して上手くもない俺がサッカー部に入ったとしても輝くのは多少顔が……うん。アレでもかなり上手い奴か、多少へたくそでも顔がいい奴。 まぁどちらにも中立の俺にとっちゃどう転んでもモテはしないという事実だった。 その経験を活かし、高校は何にも縛られず有意義に放課後をエンジョイすることを心に決めていた。が、 しかし。 見事にその希望は打ち砕かれた。 そう 彼女に出会ってしまったのだ。
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