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月が昇る丘。
そこにある月桂樹を目指してアマリリスは歩いていた。
『ちゃんと抜け出せてよかったわねぇ♪』
「うん。エドガーったらこういう時ばっかり鋭くて困るわ」
『まぁ過ぎたことはいいじゃねーか。にしてもいつみてもデカいなぁ……。樹齢不明なんだよな?』
「そうよ。いつからあるのか分からないけど、とても古いものだって事だけは分かってるわ」
『分からないものはしょうがないわよぉ。それよりも私はここの空気好きよぉ♪』
『まぁ嫌いじゃないな』
「私は普通だけど、もしかして妖精からするとすごく居心地いいってこと?」
『そうかもしれないわぁ。あの月桂樹からは強い生命の力を感じるわぁ。周りもそれに呼応してここら一体が神聖な場になってるのかもしれないわねぇ』
「へぇ……」
『多分だけどな。でもハズれてねぇ気がするな』
月桂樹の前に着き、アマリリスは月桂樹に背を預けながらラティアとウェルファの憶測に耳を傾けていた。
「あんたがアマリリス?」
「きゃっ!!?」
何の前触れもなく上から降ってきた声に、アマリリスは驚き月桂樹の下から離れた。
「あ~…悪い。そりゃ驚くよな。驚かせてごめん」
アマリリスが上を見上げると、若葉のような緑色の髪に曇りのない水色の瞳の少年がすまなさそうにこちらを見下ろしていた。
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