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王位争いが終わってから三年。
王都であるツェリアスには昔の活気が戻りつつあった。
「ありがとうございました。またいらして下さいね、アマリリスちゃん」
「はい♪じゃあねカレンさん」
ツェリアスにある茶葉を売っている小さな店から茶色い紙袋を抱えた少女が出てきた。
「よいしょっと…。ふふっ早くサティの所へ行かなくちゃ!」
アマリリスと呼ばれていた少女が楽しそうに歩き出していた。
美しい銀の髪をなびかせ進む姿はどこか現実離れした幻想的なものを思わせた。
そんな少女を怪訝そうに見つめる複数の瞳があった。
「おい、あれアマリリスだろ?」
「げっ本当だ」
「今日も例のアレと遊ぶんじゃね?」
「お前、聞いてみろよ」
「え~…ヤダわ。お前が聞けよ」
「はっ!?俺?…まぁいいけど。やーいアマリリス!今日も妖精さんと楽しくお茶会か?」
からかうように声を発する少年達。アマリリスはそっちの方をきっと睨んだ。
「何よ?あなた達には関係ないでしょ!?」
「アマリリスが怒った!逃げろ~!!」
わ~っと叫びながら少年達は走り去った。アマリリスは少年達が逃げ去った方を見て
「……本当に居るもん」
小さく呟いた。
そして小走りでその場を去っていった。
その呟きを聞いていた人が居たとも知らずに――…。
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