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母は借金を返すため俺が12歳の時…母が32歳の時からお水をしていたのだが…それも父がタクシーの運チャンのコネで薦めたモノ。
お水は同伴出勤や付き合いというシステムがあったため夜遅くなる母を家に送り届けるのが父の毎日の日課になっていた。
母は家に帰る際に指名客を親父に送らせるという事をさせていたのだが毎日後部座席で母が違う男と乗ってイチャこくようになってきたらしい。
それに対し父は嫌気がさし喧嘩が毎日起こるようになってきた。
深夜2時から始まる両親の喧嘩。
いい加減飽々していたので妹も喧嘩が始まっても起きないという特技を身に付けたのだが俺は親父の怒りの矛先になる事があったためこの日もいつも通り起こされるハメになった。
……………昨日確かに片付けて寝た筈の部屋は散らかり夜食が乗っていた皿は割れスープ が入っているお椀は何故か灰皿に変わっていた。その光景に悪態をつきながら柱に寄りかかり煙草をフカし始める俺。
喧嘩の内容は毎回変わらずこうだ。
帰りのタクシー内でイチャる母を責め、母がお水をしなければならなくなった借金の擦り付け…最終的にはお互い昔の話を掘り返し責める。
お互い只負けたく無いっていうプライドがあり酒が入っているため引こうとはしない。そしていつも通りイラった父の怒りの矛先が俺に向く。
また適当に何癖つけて文句言うんだろ。どーせ煙草だろ?
と思っていたが父の口から信じられない一言が発せられた。
『お前はパン子の浮気相手の息子じゃ❗』
父得意のいつもの嘘話だなと思い…母を見るといつもならすぐ食ってかかる母は下を向き華奢な自分の足先を見つめていた。
母はその事実を否定しなかった。
真実だった。
俺が小さい頃から親戚や父に相手にされずバスケや綱引きなどの大会で優勝しても否定され全ては『ゼニ。ゼニにならんのならする意味は無い』
と夢を描いたモノは全て捨てられ壊されたりした。
あの時邪魔された意味がこの時ようやく分かった。
父にとって俺の存在そのものがウザかったらしい。
俺は混乱し家を飛び出した。
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