境界性パーソナリティ障害の治療覚書

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第一節 患者さんとの邂逅 境界性パーソナリティ障害の患者さんは、色々と複雑な経緯を辿った上で、臨床心理士や精神科医の元に現れます。 患者さんは無気力・鬱状態・リストカット・引きこもり・不登校・家庭内暴力・薬物中毒・摂食障害・深夜徘徊等のトラブルメーカー扱いされて、半ば無理矢理連れて来られる場合もあります。 自発的に「鬱なんです」等と訴えて来談される場合もあります。 凄い人になりますと、「私はボーダーラインだと思いますから、何とかして私を助けてください」と自己申告なさる方もいらっしゃいます。 そうして、そういう場合は本当に境界性パーソナリティ障害の場合もあれば、実は自己愛性パーソナリティ障害や回避性パーソナリティ障害等が混在している場合もあります。 いずれも、一昔前なら、その自己申告は本当に境界例として診断されたものと考えられます。 注意すべき事は、所謂「教育分析」(精神科医や精神分析家を目指す臨床心理士が、自ら患者になって心理療法を受けること)を希望する若手臨床家には境界例が沢山いる、と言う事です。 この障害の方は漂泊しつつ、ふらりと現れるのです。境界例は定住を好みません。
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