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入学式も終わって1週間。
放課後は部活の勧誘が始まってる。
うちのクラスの人も数名が部活動に入部している。
―――是非陸上部にっ!!
―――君っ!!サッカー部はどう?!モテるぞっ!!
―――一緒に甲子園を目指して青春を謳歌しよう!!
色んな人が必死に勧誘している中、俺は何にも目を向けない。
はぁ……帰ろう。
そんな時、
「君、音楽に興味無い?」
後ろから元気で透き通った声が聞こえた。
振り返ると黒いサラサラのショートヘアーをなびかせていて、目は長い睫毛で縁取られて端正な顔立ちをしている、いわゆる美少女が立っていた。
「音楽っすか?」
「そう、音楽っ。楽しいよ。初心者も大歓迎だからっ!!」
と、言って俺に、一音入魂とかなんとか書かれたチラシを渡した。
「いや、何で俺なんですか?見ての通り俺、男っすよ?」
俺がそう言ったら目の前の彼女はキョトンとした顔をして、
「吹奏楽部は女の子の部活って誰が決めたの?それに今は男も吹奏楽部をやる時代なの。」
「どんな時代ですか……。」
「もう、君には音楽の良さを知ってもらわなきゃ。一緒に音楽室来てっ!!」
グイッと手を引かれて玄関に居たのに一気に四階にある音楽室まで猛ダッシュ。
どうしよう……帰りたい。
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