第一話

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ある朝。 静かな居間に、控え目に響くノック音。 「加奈ー。今日バイトの面接あるんじゃなかったー? そろそろ起きないと……」 言いながらドアを開ける。 現在午前7時。 そしてここは自分の同居人である田上加奈の寝室。 自分は、昨夜加奈に「明日の午前中、バイトの面接があるから7時に起こしてほしい」と頼まれたので6時50分に目覚ましを掛けて、今こうして起こしに来たところだ。 しかし自分の呼び掛けは途中で違和感によって遮られた。 ……加奈が、居ない。 肝心の加奈が、ベッドにも部屋のどこにも居ないのだ。 こいつはどうした事だ。 あの低血圧が。
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