デリバリー・ドクター

case.0

――とある病院の一室

冬の澄んだ空気をとおって、眩しいほどに降りそそぐ日差しのなか、一人の老人がベッドに横たわっていた。

規則的に響く機械音は、かろうじて彼の心臓が動いていることを証明している。

彼の体を蝕む病魔の名は、肝臓ガン。
若いころの暴飲暴食が招いた結果だった。

いつ命が尽きてもおかしくはない彼の頭には、あるモノが浮かんでいた。