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走り切ってマンションの入り口。
案の定、制服も鞄もびしょ濡れ。
ジャケット脱いで、ネクタイ外した。
シャツが肌にべたついて、早く着替えしようと歩き出した時…
…猫…?
イヤ…
マンション入り口で膝抱え、
肩まである栗色の髪は見事に濡れていて、着ていた白いワンピースにカーディガンも濡れて素肌に張り付いていた。
脇には彼女の荷物なのか、スーツケースにバック。
「なぁ…」
そのまま部屋に帰り着替えすればいいものの、見過ごせなかった。
ゆっくり顔を上げる彼女は泣いていて…
「…ココにいるのもなんだからさ…
俺の部屋来る?」
黙る彼女に
「何もしねェって、そうやって風邪ひいて死ぬよりマシだろ?」
彼女の脇にあった、荷物持って先に歩く。
それでも足音は聞こえないから振り返った。
「来いよ、俺一人だけで住んでるから…親なんていねェし」
あ…余計不信か。
予想外に、彼女は立ち上がりゆっくりと歩きだした。
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