9564人が本棚に入れています
本棚に追加
そしてもう一つの理由が彼、バッシュ・カノンがその護衛騎士団の入団試験を受ける日なのである。
「さて、起きるかな」
朝日がようやく出てくる頃、バッシュは日課である
剣の稽古をしに外へと向かった。
玄関の横に立て掛けてある鉄製の両手剣を持ち、通りへと出る。
朝もやの中、黙々と素振りを続けていると、あちこちから同じ様に素振りをする音が聞こえる。
この国は騎士国家、国民は皆、特に若い人々は、王国騎士団に入る為、自主的に訓練に励むのが当たり前となっている。
バッシュも例外では無かった。
幼い頃より騎士団の演習や訓練所に通い詰め、その姿に憧れ、いつかは自分もと願い、一日も訓練を欠かさなかった。
そして今日この日、ようやくその夢を叶えるチャンスがきたのだ。
「…絶対に騎士になってやる」
自らに言い聞かせる様に小さく呟く。
最初のコメントを投稿しよう!