142人が本棚に入れています
本棚に追加
もう一人は、あまり目立つ動きではない。
だが、ひどく正確で、緻密な動きだ。
一人目より少し大きい、だが男や仲間たちよりはやや小さいだろう。手にしているのは木刀か。
金属バットの奴の後方からかかる仲間を払い、奴が一度倒した後、立ち上がり不意を打とうとした仲間を払う。そして、隙を見て鳩尾や後頭部、首に木刀を叩き込む。
木刀は金属バットほどではないが、意外に重量がある。十分に鈍器となり得ていた。
二人の襲撃者の言葉もない連携は、あまりに鮮やかだった。
仲間の怒声は、すぐに悲鳴へと変わる。
気付けば、周りの仲間は誰一人として立っていなかった──。
.
最初のコメントを投稿しよう!