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◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「──……ん……」
目を薄く開く。小春日和の柔らかい日射しと、青空が目に入る。
寝呆けた頭には現状が上手く把握できない。少しの間、空を流れる千切れた綿のような無数の雲を目で追い、我に返った。
とりあえず、日射しが幾分先程よりも傾いているのに気付き、悪寒が走る。
(──やばっ──)
「……い……今、何時だ?」
若干青の混じったの黒い髪の少年──鞘羽 燕(サヤバ ツバメ)は、身を起こしながら問い掛けた。恐る恐る、という言葉がまさに似合う、そんな様子で。
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