S01‐CaseByCase Holiday

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「十四時三十八分だぞ。あ、いま四十秒を回ったところだなー」 すぐ背後から答える、幼い、どこか抜けたようなとぼけた声。 少し伸びてきた髪が視界に入りうざったい。片手で掻き上げながら振り返れば、すぐそこに寝転がる、白い病院服を着た小さな体躯が目に入る。 顔の上には燕が持ってきてやった週間漫画誌が開いて乗せてある。声も明らかに眠そうだし、日を遮るのに使ったのだろう。 というか、どうやって時間を確認したのだろうか。 コンクリートの床に広がった、真っすぐな長い髪は鮮やかな空色──浅葱色、とも言えるか。とにかく、人として多少の疑問を感じる色彩であるのは間違いない。 「やっべ、アイツの診察もうとっくに終わってんじゃんか──悪い、俺帰るわ。またな!」 燕は、素早く立ち上がりながら寝転がる小さな少女に言うと、背を向け屋上の出入口へと駆け出す。 少女は、じゃあなー、と小さく眠そうに言いながら、寝転がったままに片手を振った。 ゆらゆらと白い華奢な手が揺れ、扉が閉まると同時、ぱたりとコンクリートの床に落ちた。 .
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