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◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
ああ、面倒な仕事だ。
くたびれたスーツ姿の男は、欠伸を噛み殺しながらパトカーから降りた。
そこは町外れにある、今は既に使用されていない、古びた廃工場の前だった。
過去に製品の運搬用の大型車が数多と通ったであろう鉄門は既に壊れており、誰でも簡単に入ることができる。ただし、今は警察の手により黄色い侵入禁止のテープが幾重にも貼られていたが。
男は辺りにいる下っ端の鑑識係や警官から挨拶されるのに小さく片手をあげて答え、テープをくぐり中へと入った。工場内ではなく、彼の用事は駐車場にあった。
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