S01‐CaseByCase Holiday

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「おーおー、こりゃまた派手にやったもんだな」 現場の惨状が目に入り、思わず呟いて男は眉を歪める。 駐車場は、なかなかに酷い有様だった。 派手且つ悪趣味に塗装された幾台ものバイクが所々を破壊され、破片を辺りに撒き散らして転がっている。煙草の吸い殻や酒類の空き缶といったゴミに混じって数人分の私物も散乱していた。 昨晩には、ここに加えて大の男が9人も気を失って転がっていたのだと考えると、思わず顔をしかめた。 「刑事、お疲れ様です」 若い青年といえるような新米刑事が歩み寄って頭を下げる。まさにベテランといった風情の男は、答える。 「おう。ひでぇ有様だな、こりゃ…ガキのグループ同士の喧嘩かなんかか? この町の治安が思いやられるぜ、全く」 煙草に火を点けながら皮肉げに苦笑いし、呟いた。 「…いえ、それが…」 てっきり相手も苦笑いを返すかと思いきや、青年刑事は戸惑いの色を示す。思わず男も彼の顔を見返した。 「…どうも、非行少年のグループ同士の喧嘩……というわけでは、無いようなんです」 .
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