142人が本棚に入れています
本棚に追加
そう。
彼女、なのだ。
燕の隣を歩く友人は、正真正銘の女子──しかも、道行く人々が振り返りはせずとも、間違いなく一瞬は目を奪われるであろう超美少女だった。
母親が西洋人のハーフで、それ故の鮮やかな美しい金髪は後頭部で乱暴に束ねられて、無造作に跳ねている。前髪はくせがあり、まるで勇壮な獅子のたてがみ。
目鼻立ちは端正に整い、すっと通った鼻は程よく高く、眉は強固な意志を象徴するように少し太め。
長い睫毛と、猫科の動物のような鋭い金の瞳は常時僅かに端が吊り上がり、粗野で攻撃的な性格を現すかのよう。
飾らない野性の動物のような美しさが、姿の端々から垣間見えた。
……しかし、彼女への印象が外見の美しさのみに留まる人間は、彼女──獅子堂 夏月(シシドウ ナツキ)の名前すら全く知らない、道行く人間のみであろう。
.
最初のコメントを投稿しよう!