ALL THE WORLD'S A STAGE.

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「──『As You Like It』(『お気に召すまま』)……ウィリアム・シェイクスピア、ですか」 不意に、後ろ──フェンスの向こう側から声がかかる。「彼」は首を回し振り返った。 そこには、一人の白い『ヒト』がいた。 それは奇妙な姿だった。 肩から踝(くるぶし)までの全身を汚れない真っ白いローブに包んでいる。袖から覗く指先も白い手袋で覆われ、靴の裾から出た爪先はブーツのように尖ってこれもまた淀みない白色。頭部にも深くフードが被さり、口元だけが微かに覗いていた。 笑みと言っていいかもわからないほどに僅かに緩められた唇はほぼ色が無く、肌も陶器のような白色。 服の上からでは体の凹凸も殆んどわからず、性別すらも曖昧に見えた。 .
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