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時は平成。
私、龍崎楊が江戸時代へのタイムスリップから帰って早3ヵ月がたっていた。
時期的に真夏で、外に買い物にいくのも億劫になるほど暑い。おかげで、働き者のコイナスは水をがぶ飲みしてるし、執事のケルベロスは熱中症を起こしてばてている。
…にも関わらず、ケルベロスはいつも通り家事をこなしていくので一向によくならない。
「おいおい、熱中症でばててるやつが寝てなくていいのか?」
「寝てろって言ってるんだけどね…。一応…。」
「お仕事命…ですのね。」
この二人は、ケルベロスがばてていると知って家のことを手伝いに来てくれている。
鬼竜真斗と鬼竜家に仕えるメイドの谷絵梨香さんだ。
実はこの二人も通称「戦える人間」である。
鬼竜は黒龍の力をもった死神の子で、紫炎と呼ばれる霧に覆われた国のお殿様の生まれ変わりらしい。
谷さんは、紫炎に仕えるくの一で、六武衆と呼ばれる紫炎軍最強と唱われる武将を束ねているらしい。
むろん、私にはさっぱりわからないことなのできにはとめない。
「ケルベロス、あとは私がやるから寝てなよ…。」
「そうだぜ。何のために俺達が来てるのかわからねぇじゃん!」
「お気持ちはありがたいのですが…、家事は執事の役目…。お嬢様にさせるわけには…」
その瞬間、ケルベロスの体がぐらりとバランスを崩した。
私はとっさにケルベロスを抱き止め、楽な姿勢をとらせるために横にならせた。
「ほら、無理するから!」
「病人は大人しく寝てろっての!」
「そうですわ。あとは私たちがやりますから、しっかり体を休めてください。」
「…わかりました。では、お願いします。」
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