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放射能と白い霧のような煙幕に包まれた東京。
辺りは何も見えなかった。
怪獣王の死を目の辺りにした人々はただと呆然としているだけだった…
だが、彼等の耳に“ある者”の声が聞こえた。
声と言っても人の物ではない。生き物の鳴き声だ。
霧が徐々に晴れていく…
その時、人々は見た。
霧の中に立ち尽くし、力強く雄叫びを上げている怪獣の姿を…
その怪獣は怪獣王の亡骸の所に行き、立ち尽くしながら見つめていた。
変わり果てた姿に、悲しみの表情を浮かべる。
『大丈夫…あなたの仲間は、いつまでもあなたの心の中にいるから…』
怪獣の頭の中に1人の女性の声が聞こえた。
怪獣は上を見上げ、空の上を見渡した。
『アドノア島に帰るのよ?
あなたなら、今のあなたなら1人でやっていけるから…』
女性の声を理解したのか、怪獣は亡骸の傍からゆっくりと離れていく…
怪獣は海を目指しながら、生まれ故郷のアドノア島へと帰っていく…
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