王国と皇国

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フランツは最近、ミラーノを急に訪ねて来ては彼女の部屋に居座るのが習慣になっていた。と、言っても特にすることもなく、今日はほぼ一日中寝ている。昨日はほぼ一日中窓の外をぼんやり眺めていた。 思えば、主に父や母がダナギアス帝国の話をするようになってから、彼と自分との間には溝が生じたように王女は感じた。昨日も、窓の外を眺める皇子に「国はどうしたのか」と話しかけても「変わらない」とそっけなく交わされてしまった。 皇子の国に深刻な何かが起きていることは皇子の表情から読み取れたが、ひとり寂しそうに窓の外を見つめる幼なじみを見ると、王女はそれ以上何も言えなくなってしまうのだった。
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