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――南柏花大通
柏花駅前、柏花市を東西に貫く大通はドールの攻撃によって窪地だらけになり、車両は通行できなくなっていた。
「ひどいな、これ…全部ドールがやったのか!?」
「そうよ!」
「え?」
大通の近辺に住む住民が外に出てきた。
女性「ニュースじゃ自然現象だっていってるけど、私ゃ見たんだよ、金棒を持った影が道路を叩くとこ!!」
男の子「僕も見たよ!!本当に鬼が来たのかと思っちゃった」
老人「ワシャ嬉しいがな…いつもいつも、車やら電車の音でうるさくて、眠れもしないんじゃ!!」
「はぁ…」
「家を壊されちゃたまったもんじゃないけどねぇ!あなたも気を付けなさいよ」
「はい、お気をつけて…」
住民は家に戻っていった。
そんな彼らを見て、恭介の頭には1つの仮説が浮かんだ。
――柏花商店街
駅近くにある、平日休日、昼夜問わず多くの人で賑わう商店街だ。
今日も商店街は人で埋め尽くされ、活気のある店の店主たちの客寄せ合戦が繰り広げられている。
「まいどあり~!!ほらおばちゃん、今日は大根が安いで!!まけたるから、買っていき!!ほれ!!」
剛はこの商店街の八百屋の息子で、休日は店の手伝いをしている。
「今日も精が出るね、剛君!!さすが大阪出身、口も上手だし!大根3本まとめて買ってくわ!!」
「おばちゃんこそ口上手やて、ほれ3本、人参2本おまけ!内緒やで?」
「ありがと、また買いに来るわ!」
「まいど~、ふぅ…今日は疲れたな…ゆっくり休ませてもらうとしよか…」
客をさばき、休憩を取ろうとしたとき…
「キャアアアア!!」
「何や!?」
商店街の出口付近で、悲鳴が響いた。
それを聞いた剛が外に飛び出す。
商店街の出口から、蜘蛛の子を散らすように人が逃げてゆく。
その先には…
「何や…あれ?鬼?ここは夢の国か?」
剛の視線の先には、"鬼"の様相を呈したドールが立っていた。
「いらっしゃ~い…て、そんな雰囲気じゃあらへんな」
『ここを壊せば、やっと終わりじゃな…』
「どうなっとるんや一体?この商店街は昔話でも有名なんか?」
『そんなわけないじゃろうて…今日でこの商店街は店じまいになるのじゃからな』
"鬼の金棒"が剛に襲いかかった。
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