零章 命捧ぐ姫

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「輝導書にはそれに相応しいだけの器が必要なのだ。たとえ英雄王たるそなたでも、足りぬ」  王に英雄と讃えられた青年は、それでも唇を血がにじむほどに噛み締めた。 「竜王を封律するには、『千年魔女』たる忌姫の器が必要になるのだ。これは如何なることがあろうと、覆らない事実である」 「そんなことは許されない!」 「決めるのはそなたではない。――男を連れていけ。ただし命までは奪うな」  まるでそれが英雄に対する、唯一の心遣いだと言わんばかりに、壮年の王は命令を静かに放った。  兵士は数秒ほど呆然とする。それは兵士たちの青年への信頼の厚さの表れだった。  しかし、それでも王の命令は絶対。逆らえば文字通り、命を落とすことになる。

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