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序章ー祝福、そして悲劇ー
ーーーー……おぎゃあっ、おぎゃあっー……ーーーー
シンシンと雪が降り積もる街。その街で、大きなお屋敷から元気な産声が響き渡った。
その産声が聞こえる部屋に、栗色の髪を後ろに撫で付けた男が息を荒くして駆け込んだ。
「っ……!産まれたのか!?」
「大きな声を出さないで下さい……ハイ。産まれましたよ。元気な男の子です」
父親とおぼしき栗色の髪を後ろに撫で付けた男は、信頼するメイド長からその言葉を聞くや否や、元気な声で泣く我が子に駆け寄り、いとおしそうに見つめた。
「おォ……おォ!!おめでとう我が子!!この世界にようこそ、我が子!!この私の息子……そう、ウツロよ!!」
その日……ウツロという少年が、五大貴族の内の一つ、マグヌス家に生誕した。
しかし、この時はまだ…………誰も、これから先に待ち受ける悲劇の事など、知るよしも無かった。
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