第一章 暮色

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家の最寄り駅に着く頃には、既に7時を回っていた。 近所のスーパーに入ると、惣菜を適当に選ぶ。 この時間帯に制服でスーパーをうろうろしている女子高生なんていない。 私はどこへ行っても今ひとつ馴染んでいない。 無駄に明るくて、油の匂いが充満した惣菜コーナー。トングでイカリングをとっていた時だった。 「あら、裕子ちゃんじゃない」 背後から声がして振り返る。 懐かしくて思わず目を細めた。 小学校時代の友達、遠藤知佳の母親だったのだ。 「本当に久しぶりねぇ。学校は楽しい?」 「はい、とても。 知佳も元気ですか」 「ううん、そうねぇ」 遠藤おばさんは困ったように笑う。 「なにかあったんですか」 「よかったら、いつでも遊びに来てちょうだいね。 その時に知佳が話すでしょうし。週末なら必ず知佳は家にいるから」 「え、それって」 「じゃあまたね」 遠藤さんは愛想よく笑うと、レジへとカートを押していった。
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