第一章 暮色

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半年前、「NEW SKY」というホームページを作成した当初は、訪問者数など無に等しいほど少なかった。 始めてから半月ほど経った頃、私はトップに一行加えることにした。 「――私はバイ・セクシャルです」 勇気が要った。 しかし、アクセス数は急増した。 誹謗中傷も少なからず受けたけれど、共感の声も多数届いて単純にうれしくなったのだった。 しばらくしてから、「実際会ってくれますか」という人が何人か現れるようになる。 初めは、万が一相手が男性だったら不安だから、と断っていた。 しかし気の緩みだろうか、一度会ってしまうとずるずるといろいろな人と顔を合わせる結果になった。 待ち合わせ場所は駅ビルの2階のカフェとしている。 そこは放課後の時間帯でもいつだって空席があるし、広いので店員に会話を聞かれる心配もない。 少々高めだから我が校の生徒はまず来ないし気がねなく同性愛などについて語り合える。 私たちはあらかじめ互いの服装を教え合っておく。 会ってからは一緒にそこでお茶をして、時間があれば映画なんかを見たり買い物をしたりして、互いに気に入れば連絡先を交換する。 至って健全でクリーンな出会いだ。
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