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金沢リサはそれだけでなく、スキンシップが多かった。
カフェで話していて、私が何かの節に彼女をからかった瞬間だった。
金沢リサは私にもたれるようにして
「裕紀っていじわる」
とかなんとか口にしたのだ。
免疫のない私はどきどきした。
私がホームページで知り合った相手にときめいたのは、彼女がおそらく最初で最後だったにちがいない。
「金沢さんって、すごく美人ですよね」
私が酔ったように言うと、彼女は満足そうに不敵の笑みを浮かべた。
それがまたなんとも色気があって、素直に胸が鳴った。
私はネットで「裕紀」のハンドルネームを名乗り、女性たちにも本名の千葉裕子は明かさなかったけれど、金沢リサだけは私の名を知った。
私が教えてしまったのだった。
「裕子だと、どうしても女の名前にしか聞こえませんから」
私は言った。
「裕紀だったら、響きはユウキだから男にでも女にでもなれる。
それってすごく便利な名前じゃないですか」
金沢リサはそれを聞くと、笑いながら答えた。
「あたしは『裕子』の方が好きだなぁ。
あたしは女でいる裕子が好きだし、あたし自身女らしくいたいもん」
彼女の実家は地方なので、金沢リサは一人暮らしだった。
彼女の家まで軽々しくついていったのは、当然、そのような展開になってもかまわなかったからだ。
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