すれ違いの恋

4/5
前へ
/5ページ
次へ
なぜか知らんが。  戦っていたあの時とは違い、今は、この腕が人を斬ることもなくなった。 そのおかげで、少しは人と一緒に居ることができる。  あの戦いの後、私は龍神に取り込まれるはずだったのに、応龍が誰かの強い祈りを聞いて、私を、地上に戻した。 人間として。 その祈りが誰のものかは分からないけれど。 どうして、誰が、私を……。  私は、多くの罪を背負っている。 多くの人をこの手にかけてきた。 そんな私が生きていていいはずがない。 人の命を犠牲にしたことも知っている私には、辛い……。  このことは、誰にも話すことはできない。 いや、信じる人はいないだろう。 時空を越えて、過去に行って、戦をしてきたなんて……。  でも、その傷や、会った人たちの事は、しっかり覚えている。 良い人も、悪い人も、何か事情を抱えて生きていた。 私も……。  体や心の残っている傷を負ったことは後悔していない。 なぜなら、その分、仲間の命が守れたからだ。 死ぬ運命を変え、今も生きている。 それは、将臣、譲、望美も含まれている。 ただ、その死を夢で見たときは、本当に、どうすればいいのか分からなかったけど……。 その時、必死にあがいてきてよかったと思う。 守れたから。
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加