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----目に見えるは、日本一大きな山があった。
「この先か」
納豆屋が呟く。富士山の前には、八俣大蛇がこちらの匂いに気付き、八つ全てが睨みをきかせる。
「誰かがあれを引き受けないとですね。私だけが残ります。皆さんでしたら、必ずフユを助けてくださると信じてます」
貨幣屋が、自らの財布を握り締めて、ワゴン車からおりる。
「一人で大丈夫か? 私もおりるぞ?」
「はい、私は一人で大丈夫です。それに十露盤屋がいなくなったら誰が運転するんですか? 納豆屋さんを疲れさせるなんて許しませんよ?」
「…………そうだな、こいつは私達の切り札だしな」
十露盤屋は、助手席で話を流しながら聞いていた納豆屋を見てほくそ笑む。二度も負けた納豆屋。一体、何が彼をそこまで信用させるのだろうか?
そしてワゴン車は、スピードをあげて貨幣屋だけを残す。
「さて、日本語はわからないと思いますが名乗ります。私は、貨幣屋天王寺菫! 貴方の皮、財布に入れたら金運が上がりそうですね」
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