act.18 終焉

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----納豆屋がグロースに勝った頃、世界各地でも、戦いが終わっていた。 日本某所。 「腕は切り落とした。後は体でも貫くか。外道をさまよえ、楓矛衝!」 緑色の風が吹いた頃、巨大な鬼は、粒子のように消える。 「邪悪掃除人ナメんなよ」 ----ヨーロッパの軍事国家。ここも戦いは終わりを告げる。将軍と呼ばれた男が自らの剣をドラゴンの額で貫く。ドラゴンはそのまま力なく倒れる。 「毎日、鍛えているんだ。これくらい当然だろう」 将軍は、部下にドラゴンの死体を任せて施設に戻る。 ----太平洋は、すでに戦いを終えていたみたいだ。海面にクラーケンの死体が浮いたまま、小さな船はどこかに向かって水平線に飲まれるように消える。 ----そしてオーストラリア。狼は獲物の匂いを感知して、藪に向かってその爪をおろす。その瞬間だった。狼の腕から何かが走りだし、顔面に向けて刀を一瞬だけ走らせる。 「樟葉流険技終の九拾九       --八重桜--     」 狼の顔は、血飛沫とともにバラバラになってしまった。 ----そして富士山のふもと。一人の少女と八俣大蛇。少女の財布から取り出される札束。 「貨幣よ、私を導きたまえ」 束の帯を外し、無数の紙幣が宙を舞う。そんなものお構いなしに大蛇の頭が一斉に襲いかかる。 「お金に向かって牙を向くようですね。千里の道も一歩から改め、一千万も、一枚の紙幣から、です。貴方が牙を向けるには、もったいないものですよ。そして役不足でもあります」 貨幣屋は、ばらまいた紙幣一枚一枚を的確に硬貨で大蛇の口に突っ込む。紙幣は空気摩擦で燃え上がり、大蛇を頭部だけ内側から焼き尽くす。 「さて、皮を剥ぎましょう」
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