act.18 終焉

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そして銀の鍵から放たれる禍々しい光が集結する。その姿は、異質だった。 地底の空洞に蟠る灰色の水溜まりから生える無数の触手。それを生物と呼べるかと訊かれたら、誰もが自信を持てずに曖昧な答えを出すだろう。 「まさか、お前が召喚に応じるとはな。やはり銀の鍵は偉大だ。私は世界初の本物のアブホースを召喚した男だぁ!!」 本物のアブホース。もともと、外なる神々のメンバーは、自身の名を捨て、クトゥルフの神の名を借りた者達の集まり。 そして、アブホースは自身が名を借りた神を召喚したのだ。けっして召喚には応じない神であるアブホースを。 「あれが、アブホースか」 水溜まりみたいな体からは、灰色の塊が常に排出されては触手が掴み食い散らかす。それの繰り返し。見ていて気分のいいものではないのは確かだ。 「さあ、奴らを始末しろ!!」 アブホースが、本物のアブホースに命令する。だが、本物のアブホースは、触手をアブホースに伸ばし、口に押し込んだ。 「ぐぁ!? ぬぁっ何をする!! やめろぉ!! うぉぉぉお!」 アブホースの断末魔が、建物に数回に渡り反響する。
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